2015年7月8日水曜日

第8回 NFC Form JTF Japan Meeting 開催のお知らせ



NFCの標準規格・共通仕様の策定にあたるNFC Forumでは、来たる7月15日(水曜)に東京・田町のNEC本社ビルにて、「NFC Forum ジャパン・ミーティング」を開催致します。
本ミーティングは四半期毎を目処に、世界のITとNFC市場の動向の解説、NFC Forumの活動状況に関する最新情報の提供をはじめ、NFCに関心のある方とNFC製品・サービスを開発されている企業のネットワーキングの場として開催しているものです。
7月15日開催予定のジャパン・ミーティング、基調講演テーマはNFCとも密接な関係をもつ近距離無線通信技術の一つであるBluetoothとの連携です。NFCでタップすることでBluetoothのペアリングが出来るハンドオーバー機能が既に実用化されるなど、かねてより両規格は協力して相互連携を深めてきました。IoTの波が高まる中、様々な用途に利用されているBluetoothの最新状況とNFCとの連携について、Bluetooth SIGの理事を務められる東芝の足立様より基調講演を頂く予定です。
ミーティングではこの他に、NFC Forum RFアナログ仕様に関する解説の他、NFC関連製品の開発企業によるライトニング・トークの枠も用意しております。
皆様のご参加をお待ちしております。
※参加費は無料、どなたでも参加可能です。
 席に限りがあるため、参加にあたり事前登録が必要となります。
 以下のEventRegistの参加登録ページよりお早めにご登録ください。
 http://eventregist.com/e/NFC-Forum_JTF_8thJapanMeeting


開催概要

開催日時・会場:
2015年7月15日 (水) 
日本電気株式会社 (NEC) 本社ビル(田町)
13:30 ~ 16:30 (開場: 13:00)
参加費:無料 (要事前申し込み)
参加対象:オープンセッション … NFCにご興味のある方はどなたでも参加出来ます
メンバセッション  … NFC Forumメンバ企業限定
定員:80名


アジェンダ (予定)


[ オープンセッション ] 13:30~15:30
  • チェアマンからのご挨拶
    NFC Forumチェアマン 田川晃一 氏
  • キーノートスピーチ:  

    「Bluetooth SIGの紹介とNFC Forumとのコラボについて
    株式会社 東芝 パーソナル&クライアントソリューション社技術戦略部参事 足立克己 様
  • NFC Forum RFアナログ仕様に関する解説
    ソニー株式会社 FeliCa事業部 システム開発部1課 池田典夫 様
  • ライトニングトーク-1 
    真のNFC ageへの課題 – EMVco化編FIME JapanBanking Service/Smart Card Consultant 神部拓馬 様
    ※現在、ライトニングトークのエントリーを受付中です。
     ライトニングトークを希望される企業は、社名・発表者・
     発表内容(概要)を
    明記の上、事務局までメールにて
     ご連絡ください。
    < 休憩・ネットワーキング >

[メンバーセッション] 15:45~16:30
 (※メンバーセッションは、NFC Forumメンバー限定となります)
  • NFC Forum 上海総会(6月) サマリー報告
  • 質疑応答

お申し込み・ご来場について

  • 事前登録
    参加ご希望の方は、下記の登録サイトから事前登録をお願い致します。
    (EventRegistへの会員登録が必要となります。予めご了承ください)
    http://eventregist.com/e/NFC-Forum_JTF_8thJapanMeeting
  • ご来場
    参加登録された方には、EventRegistよりPDFで入場チケットが送付されます。
    印刷の上、当日ご持参ください。
  • セッション参加について
    オープンセッションはどなたでも参加可能です。
    休憩後15:45からのメンバーセッションは、NFC Forumメンバーの方のみ参加可能となりますので、予めご了承ください。
  • 個人情報の取り扱いについて
    登録時にご記入いただいた個人情報は、本イベント運営の他、電子メールによるNFC Forumからの情報提供・ご案内、各種アンケートのお願い等に利用する目的で収集するものとし、本イベントへの登録をもって、上記個人情報の取り扱いに同意していただいたものとみなされます。尚、登録サイト上で登録された個人情報保護につきましては、EventRegistのプライバシーポリシーに準拠致します

2015年2月3日火曜日

シェアリング・サービスに最適なNFC



新しい宿の形として急成長中のAirbnb。自分の家や部屋を旅行者に貸し出せるユニークなシェアリング・サービスですが、ゲスト・ホスト双方が頭を悩ませるのは鍵の受け渡しと管理なのだそうです。物理的な鍵の場合、直接会って渡すか、どこか安全な場所に保管しておく必要がある上、ゲストがうっかり持って帰ってしまったり、失くしてしまうというトラブルもあります。

この問題の解決策としては、既にホテル等で導入されている様に、家の鍵を電子錠にしてNFCで解錠出来る様にする方法が考えられます。ポイントは、鍵をNFCカードとして発行しなくても、NFC対応のスマートフォンにアプリの形で提供することが出来ること。つまり物理的な鍵の受け渡しなしで、ネット経由でゲストに鍵を渡せる点です。

鍵をNFCアプリにすることで、ワンタイム・パスワードの様に、ある期間だけ有効な鍵を発行することも可能となります。失くしても新しい鍵をすぐに再設定出来る他、鍵を使用開始した時刻(部屋に入った時間)も分かり、リモートで鍵を無効にすることも出来るなど、非常に便利です。

レンタカーや自転車など、今後様々な分野でシェアリング・サービスが成長すると予想されていますが、安全かつ簡単に鍵を発行・更新・管理出来るソリューションとして、NFCの活躍の場が広がりそうです。


2015年2月2日月曜日

NFCで広がるIoT、全てがつながる世界へ



首都圏では、SuicaやPASMOで電車やバスの改札を通ったり、自販機でジュースを買う姿は今や日常の風景。FeliCaという言葉もかなり浸透しています。

実際FeliCaをはじめとする非接触通信技術、いわゆるNFCは、昨年のApple Payの登場によりモバイル決済技術として広く注目を集めていますが、実はそれよりずっと以前からこの技術は、社員証やホテルの鍵、パスポート・運転免許証・住民基本台帳カード等に利用されています。いや、私は、FeliCaやNFCなんて知らないし使ったこともないと思っている方でも、恐らく気がつかないうちに一度は使ったり手にしたことがある筈です。

これまでは、こうした決済や認証用などの「カード」としての利用が多かったNFCですが、昨今のIT進化に伴い、様々なデバイスへの搭載が急速に進みつつあります。

iPhone 6に代表される様に、スマートフォンやタブレット・PCは勿論、ヘッドフォンやスピーカー等の周辺機器、カメラやプリンターといったIT機器、製品化が進むウェアラブルや医療器具等のヘルス分野、自動車、様々な在庫・輸送管理現場、アクセサリーなど、その応用範囲は実に様々。ここで注目される点は、その用途は他の機器と「つながる」ためのものである点です。

昨今、あらゆるものがインターネットに接続される社会、いわゆる IoT (Interne of Things)が注目され、様々な物やサービスが実際に相互接続されつつあります。部品の極小化や通信技術の劇的な進化がこれを可能としている訳ですが、同時にその難しさも浮き彫りになりつつあります。PCやスマートフォンと異なり、殆どインターフェースらしいものをもたないセンサーや機械をネットに接続させ、データ送受を設定・制御することは容易ではありません。また、外部電源をもたない物との通信には、従来の通信装置では電池を必要とするなど、運用上の制約を抱えています。

NFCは、Reader/Writer側から発射される電波から起電し動作・無線通信が出来るため、電池を持たない物でも通信が可能である上、かざしたりタップするだけで通信が出来る非常にシンプルなインターフェースなど、IoTが抱える課題を解決出来る優れた特徴をもっています。各種電化製品だけでなく、家や自動車の鍵、サーモスタット、荷札、ワインのラベル、本など、その応用・適用範囲は無限といっても過言ではありません。

20世紀後半に生まれたトランジスタとその集積回路であるICは、瞬く間に世界中に広がり、今や私達の生活の隅々にまで浸透しました。 現代社会はこれなくして成り立たない程ICに依存していますが、 恐らく殆どの人は日常、ICの存在を意識することはないでしょう。いわばICは空気の様な存在となった訳ですが、今後まIT進化とIoTの世界では、NFCがこれに近い存在となる可能性を秘めています。

あらゆるものがつながる世界。NFCはこれを実現するために欠かせない技術の一つです。



2015年1月15日木曜日

ICカードが変える決済のスタイル



昨年4月に消費税が8%になったことを実感したのは、とあるカフェでコーヒーを頼んだ時でした。それまで消費税込みで300円であったコーヒーが302円。100円玉3枚で買えたものがあと2円必要となり、1円玉の持ち合わせがないからと千円札で払うと、お釣りの698円でポケットが一気に膨らむ羽目に。この小銭、とりわけ1円玉や5円玉といった少額コインのやり取りの変化が、消費税率変化の象徴と言えるかもしれません。

1989年に日本に初めて消費税3%が導入された際は、一般生活の隅々まで数円単位の精算が一気に増加したことで市中の1円玉需要が急増、その年の1円玉の製造枚数は23億6697万枚、翌年1990年には約27億枚にのぼりました。様々な物の値段が1円単位となった訳ですが、自動販売機や鉄道・バスの料金は、既存の機械の大幅な改造が必要となることから、長い間10円単位のままとなっていました。

今回8%への消費税率変更で生じた大きな変化は、この鉄道料金にも1円単位の料金が導入された点です。新宿駅での1日の乗降客は650万人に達する巨大な鉄道システムを抱える日本の場合、鉄道料金が1円単位とると、普通に考えれば膨大な1円玉・5円玉需要が生じるのではと思われますが、実際には市中の少額コインが逼迫するということもなく、何事もなかったかの様にスムーズに導入されたことは、ある意味驚きです。
こうした大規模な1円単位の少額決済を可能とした背景には、交通系ICカードの普及があげられます。

2001年JR東日本により首都圏に導入されたSuicaを皮切りに、この14年余りで全国的に普及し、その発行枚数は2013年3月末時点で約8700万枚に達しています。この交通系ICカードのもう一つの特徴は、電子マネーの機能を併せ持っていること。当初は駅構内の売店に始まり、今では自動販売機から街中のコンビニでも使えるため、ちょっとした少額の買い物では、この交通系ICカードによる決済が大幅に増加し、2014年7月一ヶ月間での交通系電子マネーの利用件数は、全国で1億1,841万件と過去最高を記録しています。

日本の交通系ICカードには、その厳しい要求仕様(200ms以内にトランザクション完了等)を満たすべくNFCの一つであるFeliCaが採用され、駅の改札機やバスの乗降口で「かざす」という行為が、今では日常の風景となりました。そして同時に、様々な場所での買い物シーンでも、このFeliCaカードをかざして決済するという使われ方が着実に浸透しつつあります。

NFCは非常に短い距離のものどうしを結ぶ無線通信技術の一つですが、この技術が私達の生活シーンを変え、そして一国の貨幣流通やマクロ経済にも影響を及ぼす様になったことはとても興味深いことです。

NFCは、決済という領域においては乗車券や定期券、店頭での少額決済という、リアルな場面(In store)での利用が中心でしたが、昨年米国で始まったApple Payはそうした店頭決済だけでなく、その高いセキュリティ機能を活かしたより安全なネット決済をも実現したことで注目が集まっています。今後、スマートフォン+NFCという組み合わせのソリューションは、リアルとネット、その双方の決済の中心となる可能性が高まっています。

日々刻々と進化する技術に合わせ、様々な決済、そして日々の私達の暮らしも大きく変わろうとしています。何気なく手にし、普段の生活の中で使っているスマートフォンや交通系ICカード。その中で使われているNFCは、今後の大きな変化の鍵となりそうです。


2014年12月27日土曜日

空の旅を変えるNFC

photo by Robert Course-Baker, Flickr

「紙」ベースだった航空券と搭乗券

飛行機を乗る際に欠かせないものは航空券と搭乗券。これまで紙ベースで使用されてきたこの二つのチケットは、今、急速に電子化が進んでいます。

つい10数年前までは、航空券といえば紙で「発券」されたもので、国際線ともなると赤いカーボン紙が裏面に付き、経由便や復路など複数の路線の航空券が一つに合冊されていました。

この航空券、全世界の航空会社240社が加盟するIATAが1930年に様式を統一、1972年にはIATA Billing and Settlement Plan (BSP)を導入し、航空券のカバーにはIATAのロゴが印刷される様になります。青いカバーの細長いチケットに翼をシンボライズしたIATAのマークを見た方も多いのではないでしょうか。

チェックインをすると航空券は搭乗券に引き換えられるのですが、こちらは堅めの紙に座席番号が印刷されたもので、国際線の場合、これに航空券をステイプラーで留めたりすることも。どちらも紙のチケットである以上、往々にして失くしたり盗まれたりすることも多かった様です。

2008年にeチケット化

航空各社では早くから予約発券システムが電子化されてきましたが、インターネットが普及した21世紀に入っても、航空券や搭乗券は長らく紙のままでの運用が続いていました。

紙の場合、発券装置が必要なことは勿論、発券カウンターの設置やチケットの郵送など、かなりの手間を必要とします。この効率化を目指し、一部の航空会社では徐々に電子化を進めてきましたが、2008年、ついに航空業界全体で航空券の完全電子化が完了。現在は全て電子チケット(eチケット)に移行しています。そのため、現在皆さんが飛行機を予約した際に手にするのはチケットではなく、このeチケットの「控え」となっています。

次なるチャレンジは搭乗券

搭乗券については、いまだ紙ベースでの運用が主流ですが、こちらにも電子化の波が押し寄せています。日本国内では、早くからANA・JALの両社がeチケット控えに印刷されたり携帯メールで受信したQRコード(二次元バーコード)での搭乗を実現。その後FeliCaを利用したおサイフケータイの登場により、この携帯、ないしは各社がそれぞれFeliCaカードで発行したマイレージ、ないしクレジットカードを搭乗口でタップするだけでも搭乗可能です。

現在のところこの搭乗券の電子化については、対応端末を持っていない方や、データを記録した媒体(携帯端末)の故障やバッテリー切れ等を勘案して紙での発行・運用が並行して続いており、チェックインで預けた手荷物に付けられるタグ(バゲッジ・クレーム・タグ)については依然として紙ベースのままですが、今後、NFCによる電子化が進むものと期待されています。

搭乗券をNFC化することで、(紙による)発行の手間や紛失等の問題を解決出来る他、フライトや座席の変更も簡単。マイレッジカードや、空港や機内販売での支払いに使えるモバイル決済機能との統合も可能となる為、新しい成長戦略の一つとしても有望視されているテーマです。

NFC ForumとIATAによる共同検討

NFC Forumでは、こうした航空サービスにおける各利用シーンでのNFC利用について、リエゾンパートナーとしてNFC Forumに参加されているIATAと共同で検討を行い、2013年にガイドライン「NFC Reference Guide for Air Travel」を発表しました(発表文はこちら)。このガイドラインはNFC ForumのWeb site上で公開されています(ダウンロードはこちら)

世界中で利用されているスマートフォンや各種ウェアラブルへのNFC搭載により、いつでも・どこでもフライトを予約、手荷物のNFCタグにフライト情報をタップして書き込みチェックイン、紙は何も持たずに搭乗するという日は、もうすぐそこまで迫っています。

2014年12月24日水曜日

医療機器とNFC

photo by Konstantin Lazorkin, Flickr


デジタル化する医療器具

ちょっと熱っぽいな?と思った時、体温を測る体温計。昔は水銀を使ったアナログ式で、測る前に振って温度を下げていたものですが、最近はボタン一つでリセットし、測定が終わると音で知らせてディスプレイに体温を表示するデジタル式が主流です。

今や体温計以外にも、血圧計、心電図、体重計など、様々な医療器具がデジタル化され、家庭のみならず様々な医療現場でも広く利用されています。

タップしてデータ転送出来るNFC

ところが、これらデバイスのデータ出力はディスプレイ表示のみ、もしくはプリンターで印字出力されるケースが大半を占めることから、データの読み取り・外部記録に手作業が介在し、誤判読や記入ミスが起きることも。

測定データをデジタルのまま転送・記録出来れば、判読・転写時のミスを防げる他、治療記録に即座に反映出来るためとても効率的です。

こうした体温計や血圧計などの医療器具から測定データを読み取る方法として、NFCを利用する機器が増えつつあります。スマートフォンやタブレット・PCのNFCリーダーに測定器をタップするだけでデータを読み取り、そのままダイレクトに患者さんの診療データに反映することで出来ます。現在、テルモ株式会社の「HRジョイント」シリーズなど様々な製品が実用化され、実際の医療現場で利用されています。

在宅ケアへの広がり

また、高血圧や糖尿病など、生活習慣病の在宅治療の際には、血圧や血糖値の定期的なモニタリングが不可欠ですが、血圧計や血糖値計にNFC対応のスマートフォンをタップするだけでデータり読み取りが出来ると、転記ミスが防げる他、スマートフォンからデータを送信し、医療機関とリアルタイムで最新データを共有することも可能です。

NFCというと、IT機器のペアリングやモバイル決済がよく話題となりますが、この様に医療現場でも活躍が広がりつつあることに注目です。

2014年12月15日月曜日

ワインとNFCの素敵な関係

Photo by Daniel Go (Flickr)

ワインとNFC。一見何の関係もない組み合わせの様ですが、実はこんな応用方法が開発されています。

世界各地で飲まれているワインですが、高級ワインは投機対象となる程高値となることも。そのため、市場にはかなりの偽造ワインが出回り、昨年のさる調査会社の調べでは、高級ワインの約2割は偽ワインとも言われ、深刻な問題となっています。

偽ワインで厄介な問題は、買い手が実際に開栓して中身をチェックすることが出来ない(開けるのは実際に飲む時)という点。そのため、本物のラベルが貼られたボトルを入手して、中身だけを入れ替えるという手口もあり、こうなると外見から真贋を見極めることは極めて困難です。

こうした偽ワインを防止するために、様々な方法が開発されていますが、Selinko社が開発したソリューションは、NFCとスマートフォンを利用した、ちょっとユニークな方法です。

ポイントは、ワインボトルの栓の密封シールにNFCのタグを付け、ここに認証データを記録されている点。この仕組みにより開栓するとタグが破壊されることから、開栓済かどうかの判定が出来る他、タグのデータは複製困難な暗号化されてものであることから、ユーザーはスマートフォンでこのNFCをタップすると、このボトルが真正のものかを認証することが出来ます。

「もの」の情報をデジタル化し、状態変化を記録、それらを自由に読み出し・検証出来るこうした応用方法は、今後誰もが持つスマートデバイスの普及に伴い、急速に拡がってゆくものと期待されています。