2015年2月2日月曜日

NFCで広がるIoT、全てがつながる世界へ



首都圏では、SuicaやPASMOで電車やバスの改札を通ったり、自販機でジュースを買う姿は今や日常の風景。FeliCaという言葉もかなり浸透しています。

実際FeliCaをはじめとする非接触通信技術、いわゆるNFCは、昨年のApple Payの登場によりモバイル決済技術として広く注目を集めていますが、実はそれよりずっと以前からこの技術は、社員証やホテルの鍵、パスポート・運転免許証・住民基本台帳カード等に利用されています。いや、私は、FeliCaやNFCなんて知らないし使ったこともないと思っている方でも、恐らく気がつかないうちに一度は使ったり手にしたことがある筈です。

これまでは、こうした決済や認証用などの「カード」としての利用が多かったNFCですが、昨今のIT進化に伴い、様々なデバイスへの搭載が急速に進みつつあります。

iPhone 6に代表される様に、スマートフォンやタブレット・PCは勿論、ヘッドフォンやスピーカー等の周辺機器、カメラやプリンターといったIT機器、製品化が進むウェアラブルや医療器具等のヘルス分野、自動車、様々な在庫・輸送管理現場、アクセサリーなど、その応用範囲は実に様々。ここで注目される点は、その用途は他の機器と「つながる」ためのものである点です。

昨今、あらゆるものがインターネットに接続される社会、いわゆる IoT (Interne of Things)が注目され、様々な物やサービスが実際に相互接続されつつあります。部品の極小化や通信技術の劇的な進化がこれを可能としている訳ですが、同時にその難しさも浮き彫りになりつつあります。PCやスマートフォンと異なり、殆どインターフェースらしいものをもたないセンサーや機械をネットに接続させ、データ送受を設定・制御することは容易ではありません。また、外部電源をもたない物との通信には、従来の通信装置では電池を必要とするなど、運用上の制約を抱えています。

NFCは、Reader/Writer側から発射される電波から起電し動作・無線通信が出来るため、電池を持たない物でも通信が可能である上、かざしたりタップするだけで通信が出来る非常にシンプルなインターフェースなど、IoTが抱える課題を解決出来る優れた特徴をもっています。各種電化製品だけでなく、家や自動車の鍵、サーモスタット、荷札、ワインのラベル、本など、その応用・適用範囲は無限といっても過言ではありません。

20世紀後半に生まれたトランジスタとその集積回路であるICは、瞬く間に世界中に広がり、今や私達の生活の隅々にまで浸透しました。 現代社会はこれなくして成り立たない程ICに依存していますが、 恐らく殆どの人は日常、ICの存在を意識することはないでしょう。いわばICは空気の様な存在となった訳ですが、今後まIT進化とIoTの世界では、NFCがこれに近い存在となる可能性を秘めています。

あらゆるものがつながる世界。NFCはこれを実現するために欠かせない技術の一つです。