2014年11月24日月曜日

上昇を始めたモバイル決済 - Apple Pay導入から一ヶ月 -




先週の木曜日、11/20でApple Payサービス開始から一ヶ月が経過しました。この一ヶ月の結果を見る限り、Apple Payは店舗・ユーザーの双方に受け入れられ、モバイル決済の普及・成長の大きな力となりつつあることがわかります。

この一ヶ月の様子について、ポイントをピックアップしてみました。


サービス開始後72時間で、1ミリオン   


現在までの登録ユーザー数等は公開されていませんが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のカンファレンスでApple CEOのティム・クック氏は、サービス開始後72時間で、全米で百万枚以上のカードがApple Payに登録されたと発表しています。
※冒頭の動画は、その時の対談模様です。

Apple Payは既存のクレジット・カードを利用することを前提にしているため、クレジットカード会社(国際主要ブランド、及び発行会社であるイシュアー)の支持・サポートを得ることが不可欠ですが、しっかりと主要大手を押さえており、これがスムーズな導入を支えています。

9月のWWDCで発表されているとおり、現在のところ3大国際クレジットカード会社であるVISA、Mastercard、American ExpressがApple Payに対応している他、イシュアー(発行会社)としてはAmexを含めた19の銀行カードが対応、航空会社・ホテル・小売店等が発行するco-brandカードについては、7つの銀行カードが対応。
今後、中国その他の地域のカード発行会社との提携も噂されており、そのサポート体制はさらに充実するものと予想されます。

注目すべき点は、各銀行が積極的にApple Pay利用を後押していることです。
例えばChaseでは、Apple Payに自社のカードを登録したユーザーに、iTunesからDavid Guettaの新アルバムをフリーで先行ダウンロード出来るキャンペーンを開始。またWells Fargoでは、Apple Payにカードを登録すると$20もらえる特典を提供しています。

カード発行会社である銀行としては、カードの不正利用対策として、Apple Payの普及を後押ししたい模様です。


42。年末まであと+7


現在のところ、42の全米大手チェーンがApple Payに対応。約22万店舗で使用可能と言われています。今年末までにさらに7つのチェーンが対応予定で、今後確実に増えてゆくと期待されています。

ちなみに各店舗での利用状況ですが、NY Timesの11/14付記事によると、Whole Foodsではこの3週間弱で15万件以上の決済に利用された他、大手薬局チェーンのWalgreensではNFCシステムの利用は2倍に増加、全米に14万店舗を抱えるマクドナルドでのNFC決済の半数はApple Payであったとレポートされていることなど、当初の予想以上に利用されている様子が伺えます。

ユーザーの実際の利用内容に注目すると、Apple Payで支払うユーザーは、よりお金を使う傾向にあるため、店舗側としても収益増のプラスを生み出す決済サービスとして、Apple Payを歓迎している様です。


Apple Payは、モバイル決済の起爆剤に


Apple Payが始まる随分前からモバイル決済は実用化され、近年徐々に利用が増えているものの、スマートフォンによる決済はまだまだ少ないのが実情。調査会社であるガートナーの調べでは、世界でのモバイル決済利用額は2012年に1,631億ドル、2013年には2,354億ドルと成長したものの、北米に限れば2012年に240億ドル、2013年は370億ドルに増加した程度と、市場としてはそう大きなものではありませんでした。

しかしApple Payのサービス開始により、競合相手であるAndroidのGoogle Wallet、米国通信キャリアが運営するSoftcardも着実にダウンロード数を増やし、ユーザー数が増加していることから、Apple Payは米国のモバイル市場全体の活性化に貢献していると言えるでしょう。

調査会社のガートナーの予測では、世界のモバイル決済市場は2017年までに平均年率35%で成長し、2017年には、ユーザー数4億5000万人、市場は7210億ドル規模にまで拡大すると見込まれています。

この一ヶ月の様子を見る限り、Apple Payは、これまでなかなか浮上しなかったモバイル決済の成長に火をつける、大きなきっかけを生み出した言えそうです。