2014年8月3日日曜日

そこにあるイノベーション




「すべてを記憶する」
この言葉は、スキャンしたデータや写真、ファイル、クリップしたWEBページなど、あらゆる情報を記録・保存するクラウド・サービス「Evernote」が掲げるモットーです。今や全世界で1億人以上が利用しているEvernote。例年、このEvernoteを利用したアプリを競うコンテストが開催されていますが、2011年のコンテストEvernote Developer Competitionでは、NFCとEvernoteを組み合わせたアプリ「Touchanote」が見事グランプリを獲得しました。
今回のブログ、世界を変えるイノベーションの見つけ方についてのお話です。


色々なモノ、例えばWiFiルーターの様な機器はIPアドレスその他の細かい設定が必要ですが、そうした情報の記録をとり忘れて、いざ変更しようとした時に困ってしまうケースがままあります。これを解決するのが冒頭に紹介したTouchanote。一言でいうと「ワンタッチでモノの情報を呼び出せる」アプリです。

機器の細かい設定情報はEvernoteに保存し、その保存先リンクをNFCタグに書き込んで機器に貼付けておきます。こうすると、その情報が必要な時に検索などをしなくても、機器に貼られたNFCタグをスマートフォンでタッチすれば、Evernoteに保存しておいた設定情報を瞬時に呼び出せるところがこのアプリの特徴です。

Touchanoteの開発者であるHamid Zaidi氏(右)とCyril Chaib氏
(2011年のMA7コンテスト表彰式にて)

Touchanoteがユニークな点は、ネット上で使われているEvernoteのサービスを、リアルなモノにまでNFCを使って拡張したこと、日頃よくある困っていた問題を見事に解決した点にあります。これはイノベーションの創造にあたってとても重要なポイントです。


Evernoteの創業者・CEOであるフィル・リービン氏は、昨年開催したコンテスト「Evernote Devcup 2013」のキックオフイベントの際にこう語っています。

“「サービスのアイデアが思いつかない」という人は、今日から1週間、自分が日常生活の中で何をどうしているか、つぶさに観察してみてほしい。家族や友人、職場の同僚がどうしているかも注意深く見つめてほしい。

その中には、いつもやっているけど好んでやっているものではないこと、素晴らしい体験とは呼べないことが必ずある。それを見つけ出して変えるんだ。”
(エンジニアtype 2013/4/18公開のWEB記事より)


NFCは、かざしてタッチするだけで情報を伝え、いろいろなモノをつなげることが出来る便利な技術です。この技術を活かす鍵は、Touchanoteのケースやフィル氏の言葉のとおり、私たちの何気ない日常の中にあります。いつもやっているけれどちょっと不便・面倒だなと感じていることを見つけ、何が問題なのかを分析し、より良い体験を作り出す方法を考える。
世界を変えるイノベーション。その未来への鍵は、私たちの目の前に広がっています。