2014年9月9日火曜日

NFCで出来ること (その2)

「NFCとは何?」「NFCに対応載すると何が出来るの?」のポイント解説、その2。
今回はNFCの仕組みと、その動作モードについてのお話です。


NFCは電磁誘導で動作する


無線で通信する場合、送信機から電波を発射し、この電波を受信機で受信して元の信号に戻します。送信・受信双方で電力が必要なのですが、クレジットカードの様なカードや小さなNFCシール(タグ)に無線通信用の電池を付けることはあまり現実的ではありません。

NFCではこの電力を誘導磁界を用いて、カードのReader/Writer(読み取り・書き込み装置)から発射される電波により供給しています。ファラデーが発見した、コイルの中の磁界が変化するとコイルに電流が流れる電磁誘導の現象を利用しており、Reader/Writerから発射された電波により、カード内に巻かれたコイル状のアンテナの磁界を変化させて電流を発生させる仕組みです。これにより、電池を持たないICカードでも無線によりReader/Writerと通信することが可能となっています。

NFCを使用する場合、この電磁誘導により必要な電力を得るため、コイルとなる様に導線を巻きます。例えばSuicaの様なカードの場合、カードの淵に沿う形で内部にコイルが巻かれています。アンテナを構成するこのコイルの大きさや他の干渉波により伝送性能が左右されることから、携帯電話やスマートフォンといった小型デバイスに搭載する場合、その実装位置を慎重にデザインしなくてはなりません。


NFCの三つのモード


NFCでは以下の三つのモードが規定されています。

※NFC Forumでは、3.のCard Emulationについて実装を必須としていません(オプション)。このため、NFC対応を謳うスマートフォンでも、モバイル決済に対応している機種とそうでない機種に分かれます。この課題と解決方法については、その3以降で解説します。

1. Reader/Writerモード
NFCのデータを読み取り・書き込みを行うモードです。
例えばポスターに貼られたURLを書き込んだNFCタグに、NFC対応のスマートフォンをかざしてこのモードで読み取ることで、そのURLにジャンプしてホームページを見たりすることが出来ます。

2. Peer-to-Peerモード
NFC機器間同士でデータを交換するモードです。
例えばNFC対応のスマートフォンを、同じくNFC対応したプリンターやスピーカーといった機器にかざすだけで、BluetoothやWiFiによるペアリング設定が出来ます。

3. Card Emulationモード
NFC機器が非接触ICカードの様に振る舞うモードです。
例えばJR東日本のモバイルSuicaの場合、携帯電話やスマートフォンがこのモードに対応してFeliCaに必要なエレメントとアプリを実装していれば、それらデバイスをSuicaカードとして使用することが出来ます。


(その3に続く)